アクティブファンドvsインデックスファンド 特徴の違いとリターンで優劣比較

公開日 2018年6月23日
公開日 2019年12月20日
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投資信託は大きく分けてインデックスファンドとアクティブファンドがあります。
この記事では、インデックスファンドとアクティブファンドの優劣を比較したものを紹介します。

「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」といったことを耳にしたことは無いでしょうか。
有名な株式の本である「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著書のバートン・マルキールも市場平均(インデックス)に勝つことは難しいと言っています。

本サイトでも、どんなアクティブファンドが良いか明確に示せないため、インデックスファンドをおすすめしています。
詳しくは投資信託の選び方~初心者でも簡単に実践出来る6つのポイント~をご覧ください。

しかし、本当にインデックスファンドが良いでしょうか。普通、プロが分析して投資判断を下すアクティブファンドが良さそうと考えませんか。
そこで、本記事は独自の調査でインデックスファンドの優位性を統計的に示せしていきたいと考えています。

インデックスファンドとアクティブファンドの違い

まずはインデックスファンドとアクティブファンドの違いについて説明します。
これだけでもインデックスファンドとアクティブファンドの優劣が分かると思います。

そして、比較して違いを知ることはインデックスファンドとアクティブファンドの理解にも繋がりますのでよく読んでください。
インデックスファンドとアクティブファンドの違いは大きく分けて下記三つです。

  1. 運用スタイルの違い
  2. アクティブファンドはファンドによって利益が違う
  3. 手数料の違い

これらについて、詳細に説明します。

1.運用スタイルの違い

インデックスファンドとは、名前の通り、インデックス運用をするファンド(投資信託会社)のことで、アクティブファンドはアクティブ(パッシブ)運用をするファンドのことです。
インデックス運用とは、日経平均株価やTOPIXなどのベンチマークを基準に連動した投資をする運用スタイルです。
アクティブ運用とは上昇時はベンチマークより上へ、下降時はベンチマークより下がらないようにすることを目指す運用スタイルです。

言葉ではよくわからないと思いますので、下記図をご覧ください。

インデックスとアクティブの違い

左がインデックス運用、右がアクティブ運用です。
ベンチマークとは指標のことです。国内株式の投資信託だとベンチマークは日経平均株価やTOPIX等の指標になるでしょう。

これらと連動して利益を出すのがインデックス運用です。アクティブ運用は上がる時はベンチマークを上回り、下がる時はベンチマークより減少が少なくなるようにする運用です。

見ての通り、アクティブファンドはインデックスファンドを越えるリターンが期待出来ます。
但し、あくまで期待出来るだけであり、必ずインデックスファンドを超えられる訳ではありません。

インデックスファンドに勝つために様々な運用方法を考えるため、ファンドによって運用方法が異なります。

2.アクティブファンドはファンドによって利益が違う

アクティブファンドは各ファンドで運用方法が異なりますので、必然的に運用によるリターンの差が生じます。
一方、インデックスファンドはベンチマーク連動なので、ベンチマークが同じならリターンはほぼ同じです。
ちょっと見てみましょう。

インデックスファンド価額推移-日経平均株価

グラフを見てください。日経平均株価をベンチマークとするインデックスファンドの価格推移を3つ並べました。
信頼のある限られた投資信託しか購入出来ないつみたてNISAでも購入できる投資信託ばかりです。
比較するために、縦軸は2015年1月5日を基準にした基準価額の増減率で表しています。

ファンドによる大きな差はありません。グラフが重なりすぎて違いが分からないほどです。
ベンチマークと連動させるので当たり前ですね。大差があると連動できていないことになり、ファンドの投資スキルが無いことを意味します。
そして、資金の運用方法もそこまで大差無いはずです。

ちなみにちょっとした差があるのは信託報酬という運用手数料の違いによって差が発生しています。

一方で、アクティブファンドはそれぞれ利益が異なります。

アクティブファンド価額推移

上図は国内株式のアクティブファンドのグラフを並べたものです。トータルリターンの高いものをランダムに3つ選びました。
先ほどと同様に、縦軸は2015年1月5日を基準にした基準価額の増減率で表しています。

見ての通り、それぞれ基準価額の動き方が異なりますね。上がったり下がったりする時期は似たり寄ったりですが、上り幅(下がり幅)はファンドによって様々であることが見て取れます。
これは投資スタイル、株の買い方がファンドによって異なるためです。例えば、成長株に投資、中小株に投資、医療系に投資…などあります。

初心者や投資信託にそこまで精通していない方は、どの投資スタイルが良いのかの判断が難しい所になります。
アクティブファンドをきちんと選ぶことは難しいことです。

3.手数料が違う

アクティブファンドの方がリターンが高くて良いと思うかもしれませんが、デメリットもあります。
それは手数料が高いことです。

インデックスファンドは、ベンチマークを基準に運用するので、基本的に様々な種類を等分で満遍なく投資するのが基本です。
投資先の深い調査をしないため、運用自体は手間がかからず、ファンドに払う運用手数料(信託報酬)は安いです。

一方、アクティブファンドは投資先の調査・検討したり、投資先の値動きを監視したりと何かと手間がかかります。
その分手数料(信託報酬)も高いです。

具体的に手数料がどれほど異なるのかを調べて下記表にしました。

インデックスファンドアクティブファンド
買付手数料最大3.24%3.78%
最小0.00%0.00%
平均0.30%1.39%
信託報酬最大1.67%3.35%
最小0.17%0.27%
平均0.51%1.58%
SBI証券のHP(https://www.sbisec.co.jp/)よりデータを加工して作成(2018年6月17日)

買付手数料とは購入の時に1回だけ取られる手数料です。信託報酬とは保有している限り毎年取られる手数料です。要するに運用代金です。
ちなみにデータはSBI証券さんから入手しています。投資信託の取扱い数が多いことと、データをCSV形式で落とせて便利なため利用させて頂いています。とても助かっています。

平均を中心に見て頂きたいのですが、結構違いますよね。
最大、最小だけで見るとそうでもないですが、平均で見ると買付手数料はアクティブファンドがインデックスファンドの4倍以上です。信託報酬に関しては3倍以上です。

買付手数料は1回限りなので多少目を瞑れますが、信託報酬は常にかかる手数料のため無視できません。
リターンが手数料以上の利益が出ている時は良いですが、利益が出ない時は、どんどん資金が減ります。

繰り返しにはなりますが、インデックスファンドよりリターンが大きいという保証はありません。
つまり、我々投資家は手数料というリスクをとってでも大きなリターンを狙うかという判断になります。

以上がインデックスとアクティブの違いになります。
では、本題の本当にアクティブファンドはリターンが大きいのかを比較して検証しましょう。

インデックスとアクティブのリターンを徹底分析

前置きが長くなりましたが、本題のインデックスファンドとアクティブファンドのどちらが優れているかを検証します。
インデックスは上で書いた通り、リターンの差は少なので、ニッセイ日経225インデックスとニッセイTOPIXインデックスのトータルリターンを参考にします。

一方、アクティブファンドは種類が様々であるため、多数のアクティブファンドを統計的に見てみましょう。
データはトータルリターン10年まで出せるモーニングスターのものを使用します。
長期視点で見るため、トータルリターンは1,3,5,10年で比較します。では、早速データを見てみましょう。

1年3年5年10年
ニッセイ 日経225インデックスファンド トータルリターン14.9%4.2%11.7%6.1%
アクティブファンドインデックスより勝るファンド数240212176100
インデックスより劣るファンド数188216245246
モーニングスターのHP(https://www.morningstar.co.jp/)よりデータを加工して作成(2018年6月21日)

上の表はニッセイ日経225インデックスと比較してアクティブファンドがどのくらいの数がインデックスファンドを上回っているかをカウントしたものです。トータルリターンの年数で分けています

これを見ると、年数によって、インデックスがアクティブに勝っているときと負けている時が色々ですね。ここ近年ではアクティブファンドの方が良いですね。
一方、5年や10年で見れば、インデックスの方が勝っています。

本サイトではおすすめしている長期投資をするなら、インデックスの方が良さそうです。さらに、10年で見るとリーマンショックを経験していることになりますので、不景気に強いのもインデックスファンドと言えそうです。
但し、結論をつけるのはまだ早いです。ニッセイの日経平均株価をベンチマークにした投資信託で視ましたが、もう一つ有名なTOPIXをベンチマークした投資信託でも見てみましょう。

1年3年5年10年
ニッセイ TOPIXオープン トータルリターン13.2%3.1%10.7%3.8%
アクティブファンドインデックスファンドより勝るファンド数288271236234
インデックスファンドより劣るファンド数140157185112
モーニングスターのHP(https://www.morningstar.co.jp/)よりデータを加工して作成(2018年6月21日)

上の表はTOPIXインデックスファンドと比較した時の表です。
なんと、5年10年の長期のリターンでもアクティブファンドに負けています。日経平均株価は対象の株式銘柄が限定されているのに対し、TOPIXは東証1部上場全てなので、ベンチマークの動き方が異なります。

日経平均株価とTOPIXどちらが優れているかは分かりません。今回はたまたまそうなっただけかもしれません。
ただ言えることは選択するベンチマークによってはアクティブファンドよりも運用成績が悪くなる可能性も十分にあるということです。

ヒストグラムを用いてもう少し分析してみましょう。

アクティブファンドトータルリターン5年 ヒストグラム アクティブファンドトータルリターン10年 ヒストグラム

上記のグラフはアクティブファンドトータルリターン5年と10年 ヒストグラムです。
ヒストグラムとは日本語で度数分布図と言い換えられ、分布を視るためのグラフと考えください

トータルリターン5年の方で見ると、どちらのインデックスファンドもアクティブファンドの度数が最も多い所にいます。平均的なアクティブファンドとインデックスファンドが同等と見ることが出来ます。
10年で見ると日経平均株価のインデックスファンドはアクティブファンドと比較し上位の方に入っていますが、TOPIXの方は下位の方に入っています。ベンチマークの種類によって差が生じた結果です。

これより分かることは、長期かつ平均で見ると大きな差が無いことが分かります。
但し、注意すべき点はアクティブファンドの方は選ぶファンドによってばらつきが大きい点にあります。リターンの高いものもあれば低いものもあります。

インデックスファンドはベンチマークさえ同じであればほぼ同等のリターンであり、選ぶポイントはベンチマークだけです。
ベンチマークの数は少ないので、ばらつきも小さいです。
一方、アクティブファンドは種類が膨大であり、運用結果もばらつきます。

良い投資信託を選ぶスキルのある方ならいいですが、投資初心者でスキルが無い方は当たり外れの無いインデックスファンドがやはりおすすめになります。

余談ですが、これらのデータを出すのには苦労しました。SBI証券のようにcsvで出力出来ないので、データを地道に取り出すことから始めました。
ぜひ、有効活用していただけたらと思います。

他のデータでも統計的にインデックスファンドが優っていることが示されている

冒頭でも書いた通り、既にもっと大規模な調査でも、インデックスファンドが優れていることが示されています。
それならそれを見れば良いのですが、疑り深い性格なので自分でも調べてみようと思った次第です。

「アクティブファンドはインデックスに勝てない」という資産運用業界にとって不都合な事実。個人投資家はインデックスファンドのみでOK!|勝ち組トレーダーによる投資コラム集|ザイ・オンラインに詳しく書いてありますが、SPIVAスコアカードという、アクティブ運用とインデックス運用を比較したレポートがあります。

それによると、日本で販売されているアクティブファンドは5年間の成績では73%がインデックスに負けており、10年間でも69%はインデックスに負けているそうです。
私が算出した日経平均株価と比較した場合の結果に近いですね。

プロの投資家といえども、市場の予測してベンチマークより上を目指すのは難しいということでしょう。
こういうデータを見ると投資家はどうやって利益を出して儲けているのか不安になります。

まとめ

アクティブファンドが駄目とは一概には言えないと思います。
しかし、アクティブファンドがインデックスファンドに負けたり、とんとんだったりする場合も多いことも事実です。
良いファンドを選ぶスキルの無い一般の投資家はバラツキの少なく手数料も安いインデックスファンドに投資することがベストと言えるでしょう。
インデックスファンドの選び方やおすすめのインデックスファンドを紹介した記事もありますのでご覧ください。

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