インデックスファンドの選び方~簡単かつ王道の3STEP+α~

公開日 2019年1月6日
選択のイメージ

投資信託の選び方~初心者でも簡単に実践出来る6つのポイント~のページにて投資信託の選び方を説明しましたが、本記事ではインデックスファンドに特化した投資信託の選び方を紹介します。
運用方法がベンチマーク連動と決まっているため、アクティブファンドより簡単に選べます。
ただし、それでも注意点がいくつかありますので、少し踏み込んだ内容を紹介します。

STEP1:ベンチマーク(指標)を選ぶ

インデックスファンド

インデックスファンドを選択すると決まっていれば、まずはベンチマーク(指標)の選択です。 インデックスファンドは上図のようにベンチマークと連動する運用する投資信託です。

そのため、ベンチマークがインデックスファンドの運用方針を決めると言っていいでしょう。
そこで、ベンチマークを選ぶことから始めましょう。

国内株式

有名どころはTOPIX日経平均株価です。この2つのどちらかを選べば良いでしょう。

TOPIX

Tokyo Stock Price Indexの略であり、日本語で言うと東証株価指数です。
東京証券取引所第一部に上場している株式全銘柄を対象に算出された株価指数です。
東京証券取引所が算出しており、基準日である1968年1月4日の時価総額の合計値を100として、指数化されています。

日経平均株価

東京証券取引所第一部に上場している株式全銘柄のうち、225銘柄を対象に算出された株価指数です。
日本経済新聞社が算出しており、採用銘柄の株価の単純平均をベースに補正をいれて指数化しています。

以上より、どちらを選んでも良いですが、出来る限り広く分散して投資したいならTOPIXです。
日経平均株価は対象銘柄を絞っているので、日本株式市場を正確に反映出来ていないとの見方もあるようです。

ただし、私個人の考えではベンチマークは日経平均株価でも良いと思います。
日経平均株価連動でも銘柄は200以上になるので、十分な分散投資が可能と考えるからです。好みで選んでください。

国内債券

ほぼ1つです。日興債券パフォーマンスインデックスといわれる指標もありましたが、2016年12月30日をもって終了したようです。
そのため、NOMURA-BPI総合しか残っていません。

NOMURA-BPI総合

NOMURA Bond Performance Index 総合指数の略であり、日本の国債や社債などの公社債の市場の動向を表す指数です。
野村證券金融工学研究センターが算出しており、インカムゲインと時価総額を考慮して指数化しています。

国内債権のメジャーな指標はこれしかないので、選択の余地はありません。
国内債券のインデックスファンドを買うときに確認してみるとよいでしょう。

外国株式

外国株式のインデックスは非常に多いので、いくつか紹介します。
まずは、米MSCI社(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)が提供する外国株式のインデックスを紹介します。
MSCI社だけでも種類がいくつかあるので、代表的なものを簡単に区別したものが下記表になります。

MSCIリスト

これらは米MSCI社が提供する代表的なインデックスですが、その中でも日本で買える投資信託がベンチマークとしてよく使われるインデックス(太字)を紹介します。

MSCI ACWI(ex Japan)

対象国:先進国(23カ国)と新興国(24カ国)(ex Japanは日本を除く)
ACWI=All Coutry World Indexの略で、先進国と新興国の約2500の大型株と中型株で構成されています。
時価総額の加重平均で算出され、各国市場の時価総額約85%をカバーします。

市場の大きさ故に割合は低いですが、新興国にも分散投資が出来るのは大きな違いでしょう。

MSCI KOKUSAI Index(World Index ex Japan)

対象国:日本を除く先進国(22カ国)
KOKUSAI=コクサイと書かれていることから分かる通り、日本用のインデックスで、日本を除く先進国の約1,300の大型株と中型株で構成されています。
時価総額の加重平均で算出され、先進国株式市場の時価総額約85%をカバーします。

市場の大きさ故に、アメリカの比率が高いです。比較的安定している先進国に投資したい人におすすめです。ただ、そこまで安定もしていないですが。

MSCI EM (Emerging Markets) Index

対象国:新興国(24カ国)
Emerging Marketsとは新興諸国市場のことで新興国の約800の大型株と中型株で構成されています。
時価総額の加重平均で算出され、新興国株式市場の時価総額約85%をカバーします。

中国が多いので、中国を中心としたこれから成長しそうな市場に投資したい場合に適しているでしょう。

次にFTSE社が提供するインデックスも有名なので紹介します。
MSCI社と同様に市場に分けて様々なインデックスがありますが、投資信託に使われているものだけとなると有名なものを2つだけ知っていてほしいので、それだけを紹介します。

FTSE社は、ロンドン証券取引所グループの子会社で指数の算出や金融データの提供を行う会社です。

FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス

対象国:先進国と新興国の47カ国
先進国と新興国が対象で、大型・中型・小型株式、約7,500銘柄から構成されています。
時価総額の加重平均で算出され、各国市場の時価総額約98%をカバーしています。

MSCI ACWIとは異なり小型株式も含まれているため、株式市場のカバー率が高いことが特徴です。

最後にアメリカ単独のインデックスも有名なので紹介します。
アメリカの市場は非常に大きく、アメリカの株式に投資するだけでも十分な分散が効きますので、アメリカに絞った投資もありでしょう。

S&P 500

対象国:アメリカ
Standard & Poor's 500 Stock Indexの略で、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの株価指数です。
ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄を対象に時価総額加重平均で算出されます。

ダウ平均株価

対象国:アメリカ
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出するアメリカの株価指数です。
ダウ平均株価には、「ダウ工業株30種平均」、「ダウ輸送株20種平均」、「ダウ公共株15種平均」の3種類と、これらをあわせた「ダウ総合65種平均」があります。
ただ、ダウ平均株価といえば一般的にダウ工業株30種平均を指すことが多く、NYダウなどとも言われています。
ダウ工業株30種平均は名前の通り、30銘柄だけを対象に時価総額加重平均で算出されます。

以上、代表的なインデックスだけを紹介しましたが。それでもかなり数が多いです。
選ぶなら「MSCI KOKUSAI Index」「MSCI ACWI」「FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス」の3つが良いでしょう。

市場がしっかり整っており、時価総額も高い先進国に分散投資が基本です。
そのため「MSCI KOKUSAI Index」をベースに考えましょう。

その上で、新興国も含めるなら「MSCI ACWI」の選択、さらに小型株式を含むなら「FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス」を選びましょう。
これらをインデックスとするファンドが比較的多いので、その意味でもインデックスは上記3つから選ぶのが無難でしょう。

S&Pをインデックスとするファンドも多いですが、分散効果が効きにくいので、敢えて選ぶ必要は無いでしょう。
ただし、アメリカの株式時価総額は巨大であり、他のインデックスを選択してもアメリカの影響は非常に大きいことは知っておいてください。

外国債券

FTSE 世界国債インデックス

ロンドン証券取引所グループの傘下であるFTSE Russell社が算出する世界の国債インデックスです。
アメリカやヨーロッパ勢などの主要先進国や一部新興国を含む、全23カ国、約700銘柄で構成され、ソブリン債の総合投資収益を時価総額加重平均で算出しています。
実は以前は「シティ世界国債インデックス」と呼ばれ、シティグループが算出していましたが、2017年にロンドン証券取引所グループが買収したことにより、FTSE世界国債インデックスになりました。

他にもアメリカのみや新興国のみのインデックスもいくつかありますが、分散投資をしてほしいので特定の国に依存しないFTSE 世界国債インデックスが良いでしょう。

指数の紹介は以上になります。指標が決まれば運用方法も決まるので、投資信託選定の8割方か終わっています。
後は数値を見て良いファンドを見つけ出すだけです。

STEP2:手数料が低いものを探す

次に手数料を比較して、最も少ないものを選びましょう。手数料は大きく分けて買付手数料と信託報酬の2つあります。

買付手数料

買付手数料とは買う時に支払う手数料です。1度だけ支払うものなので、影響度は小さいですがなるべく小さいものを選びましょう。
インデックスファンドなら0円のものが多いのではそれを選びましょう。ノーロードといわれています。

信託報酬

問題は信託報酬です。
信託報酬とは運用管理費用とも言われており、保有しているだけで年~1%の手数料が取られます。
日割り計算され、毎日手数料として資産から引かれます。

インデックスファンドでは運用方法が基本的に同じなのでリターンもほぼ同等です。
そのため、信託報酬がトータルのリターンに効いてくるので最安のものを選びましょう。

信託報酬の最安調べ方

証券サイトやモーニングスターのサイトに行けば、投資信託を上図のように並べて表示できます。
ターゲットのファンドに絞り込んだ後、信託報酬の小さいもの順に並べて確認すると良いでしょう。

ちなみに信託報酬が安いとトータルリターンも高い傾向にあります。
インデックスファンドは運用方法が同じなので最後は手数料でリターンの差が生まれることを表しています。

信託報酬とリターンの関係

上と下しか調べていないですが、信託報酬が低いととリターンも高い傾向にあることが分かります。
それほど、インデックスファンドでは信託報酬の削減が重要になります。
言い換えれば、信託報酬は効率的な運用ができているかどうかを見極める材料です。

さらに一歩踏み込んで、監査費用も見てみるのも手です。
これも手数料ですが、表に出てこない数値で運用書を見ないと分かりません。ある程度候補を絞った段階で確認すると良いでしょう。

STEP3:純資金が100億円以上で資金流入がコンスタントにあることを確認

いくらいいファンドであっても、資金が少ない所は止めておくべきです。 目安は100億円です。([入門] 投資信託のしくみ 中野晴啓 日本実業出版社より)

理由は資金が無いと思い通りに投資が出来ず、運用が困難になるからです。
ある程度まとまったお金が無いと運用が難しいのは理解出来ると思います。

また、資金流出の激しいところも止めておくべきです。
ファンド資金の流出が多いとその度に投資先の組み直しや調整によりコストが生じるからです。

購入手数料

私は業界の人間でないので小難しいことは分かりませんが、素直に考えみると当たり前であることに気づきます。
ベンチマークと連動するために、株式の構成を調整しています。
連動から外れれば保有株式銘柄を入れ替える必要ありますが、資金流入があれば、入れ替えの際に購入だけでいくらかはカバーすることができます。

しかし、流入が無いと今保有している株式を売ってから買うことになります。
売るという手間が発生する以上、コストが加算されることが分かりますよね。さらに解約が多く資金の流出が多ければさらに株式の売り買いの量が増え、コスト増になります。

よって資金流入が多い方がいいのは当然ということが理解できると思います。ただし、あまりに短期間で流入か多い場合は注意です。
一時的なブームによるもので、すぐに流出する可能性があるからです。

資金流出入額の見方

出典:モーニングスター ニッセイ 日経225インデックスファンド 月次資金流出額(2019年1月6日)
http://www.morningstar.co.jp/FundData/MonthlyCapital.do?fnc=2004012801

モーニングスターのサイトで上図のように資金流出入額を確認することが出来ます。
流出もありますが、資産流入もコンスタントにあるのでOKです。

これが流出がばかりになっていたり、総資産に対して流出入額が大きすぎる場合は避けましょう
ただ、このように全ての投資信託を確認するのは手間なので、流入が多い→人気→総資産も多いと考え、総資産だけを確認するのも手です。

出来れば確認しておくべき項目

ここからは出来れば確認してほしい内容について触れておきます。
出来ればというのは、上記の3STEPで今から説明する内容は満足していると考えるからです。

しかし、きっちりインデックスファンドを選ぶという観点では必要な視点です。
購入する前に一度でも確認することをおすすめします。

ベンチマークとの連動性の確認

インデックスファンドの評価はリターンの大小ではなく、ベンチマークといかに乖離無く低コストで運用できたかです。
そのため、インデックスファンドを評価する上で、ベンチマークとの連動性を確認する必要があります。

ベンチマークとの連動性確認箇所

確認方法ですが、ファンドが出す運用レポート(マンスリーレポート)に上図のようなものが書いてあるので、ベンチマークとファンドの基準価額の騰落率の乖離を確認しましょう。
信託報酬の時のように表で他のファンドと一括比較出来るようにはなっていないので、1つ1つのファンドをチェックするしかありません。
大変なのである程度絞り込んでから最終確認で良いでしょう。

他にもベンチマークとの連動性を確認する指標としてトラッキングエラーがあるとかかれていますが、厳密にいうと間違いです。
トラッキングエラーとはアクティブリターンの標準偏差とも言われ、アクティブリターンのばらつきを示す指標です。(下記図参照)

トラッキングエラーイメージ

トラッキングエラーは値が小さいとばらつきが小さくなるので良しとされています。
確かにベンチマークと100%連動していれば、アクティブリターン0%でばらつきも無いのでトラッキングエラーが0となります。

しかし、仮にベンチマークと比較して常に+5%のリターン(アクティブリターン5%)を出せるファンドが存在すれば、トラッキングエラーは理論上0です。
ベンチマークとの連動はしていないのでインデックスファンドとしては失格です。

よって、トラッキングエラーを見るのは厳密には間違いですが、インデックスファンドはアクティブリターン0%付近にいるはずなので、ばらつきだけを評価する意味でトラッキングエラーで見ても構いません。

リターンが他と比べて劣っていないかを確認

リターンの確認方法イメージ

最後にリターンを比較します。ただし、リターンは上記の検討の答え合わせ程度とお考えください。
あまりにリターンが高かったり低かったら怪しいので避けましょう。上記の検討が間違えているかそれ以外のよくわからない不安要素があると考えられるからです。

トータルリターンは出来る限り長い期間で比較します。
最低3年です。モーニングスターでも3年単位なら簡単に出てくると思います。

投資信託が出来て間もないものはトータルリターンが短いものしかありませんが、そういったものは除外です。
恐らく、同じインデックスの連動のファンドなら大差ない思います。

それでも、手数料やその他もろもろが同じなら少しでも高い投資信託を選びましょう。
他のインデックス連動の投資信託と比較してみてもいいです。

ちなみに既出の通り、信託報酬が安いとトータルリターンも高い傾向にあるので、信託報酬の安いものを選んでいれば自動的にトータルリターンが高いものを選んでいる可能性が高いです。

まとめ

インデックスファンドの選び方の王道は
①ベンチマークの選択②手数料最安の調査③純資金や資産流出入額の確認
の3STEPです。
さらに、ベンチマークの連動性やリターンの確認も出来ればなお良しです。
以上の手順を踏めば間違いのなく良いインデックスファンドが選べることでしょう。