投資信託の分配金は無い方が良い?分配金のデメリット

公開日 2018年7月8日
デメリットのイメージ

分配金とは名前の通りファンドから配られるお金のことです。
お金が入ってくると初心者には嬉しいですよね。そのため、証券会社や銀行に勧められ、毎月分配金ありの投資信託を選ぶ方もおられるでしょう。

しかし、実は全くの逆でデメリットが非常に多いです。
沢山の分配金を貰っていたのに、トータルで見るとあまり儲かっていないという事態もなりえます。

どうしてそうなるのでしょう。この記事では分配金がデメリットになる理由を説明します。

投資信託の利益の還元について

まずは分配金そのものを理解してもらうために、投資信託の利益がどのように還元されるのかを説明します。

一般的な利益の還元は基準価額の上昇

ニッセイ日経225インデックスファンド基準価額推移

分配金無しのファンドの場合、利益は基本的に基準価額に反映されます。
基準価額とは単位口数あたりの価額のことであり、下記式で算出されます。

純資産総額÷口数×1万口=基準価額

一般的に1万口あたりの投資信託の資産を基準価額とします。
株で言うところの株価にあたるものです。しかし、株価は市場の需要と供給で決まる(人気が出れば高く、人気が下がれば安くなる)のに対し、投資信託は資産で決まります。

利益が出れば純資産総額が上がり、基準価額も上昇します。この上昇分が我々投資家の利益分になります。
具体例を見てみましょう。

ファンドと投資家の利益

あるファンドが資産が1億円、発行口数1億口とします。この時、1口1円となり基準価額が1万円になります。
これを1年かけて1億円を1.2億円にしました。この時、1.2億円÷1億口×1万口=基準価額12000円になりますよね。

投資家が3万円分を保有していた場合、3.6万円になり0.6万円の利益になります。
ファンドが資産を1.2倍にしたのですから投資家の資産も1.2倍になるのは当たり前ですよね。

こうやって投資家の利益は基準価格に反映されます。
但し、下記のように資産を増やしても利益にはなりません。

ファンドと投資家の利益無し

投資信託商品が売れ、発行口数が増えてもファンドの資産は増えますが、1口当たりの価格や基準価額は上がらないため、利益にはなりません。
利益はあくまで基準価額の上昇分で決まると理解しましょう。

分配金として配る

ファンドと投資家 分配金

基準価額に反映するだけでなく、出た利益の一部を分配金として配る形もあります。
出た利益は資産にカウントされますが、その一部を我々投資家へ還元します。その分基準価額は上昇しません。

利益が出たので還元するというのは至極全うな行為ですよね。
さらに、お金が貰えると嬉しいですし、利益を肌で感じることが出来るので、毎月配当金がある投資信託が人気があるそうです。

しかし、よく考えてください。結局はファンドの資産を配っているだけです。
利益が基準価額に反映されたのか、分配金として現金で受け取っただけの差であり、特別に利益が出た訳でも得をしている訳でもありません。
むしろ問題があります。複利効果が得られなかったり、純資産が流出することで、ファンドが上手く資産運用出来なかったりします。
それでは本題にあたる分配金を出すデメリットを詳細に説明します。

投資資金を減らすことのデメリット

分配金を配る=利益の還元と書きましたが、投資資金を切り崩して還元しているので、投資資金を減らしていることに変わりありません。
投資資金を減らすと複利の効果が得られなくなる可能性があります。

複利の効果が得られない

分配金有無での資産増加の違い

上記グラフをご覧ください。
分配金として受け取ったグラフ(再投資無し)と、分配金は無く利益がそのまま投資に回したグラフです。
投資金額は100万円で、30年5%の一定の利率で投資出来たと仮定します。

利益を全て分配金として受け取る場合、投資金額は常に100万円であるので、毎年100万円の5%である5万円の利益が発生します。
それが30年続くわけですから、単純に掛け算して150万円の利益が発生します。

一方、分配金が無いと利益が投資に回ります。その場合、1年後は5万円の利益ですが、その利益も投資するため次の年は105万円で投資したことになり、110.25万円と2500円分多く利益が出せます。

ほんの少しですが、これが積み重なると上記のグラフのように30年では182万円の差が開きます。
利益を全て分配金として受け取る場合は30年で150万円増やしたのに対し、受け取っていない場合は332万円増やしたことになり、2倍以上の利益の差が生まれます。

まさに、これが複利と言われる効果です。
実際の所、ファンドが出した利益を全て分配金で配ることは無いと思いますが、複利の効果を得るチャンスを逃していることを認識しましょう。

投資資金を食い潰す

さらに、利益分以上を分配金を出そうとして、複利どころか投資資金を切り崩すこともあります。
これは最悪の事態です。分配金を出すことが目的になっていることが原因です。

ちょっと極端な例になりますが、出した利益よりも多い分配金を出した場合、最終的に資産がどうなるのかを見てみましょう。

過剰な分配金有無での資産増加の違い

既出のグラフと同じで、分配金を5万円一定で受け取った場合と分配金が無しの場合の資産のグラフを示します。
投資金額は100万円ですが、30年3%と少し低い一定の利率で投資出来たと仮定します。

見ての通り、分配金有りの方はどんどん利益が出せてなくなっていますね。グラフにもある通り、資産ががどんどん減っています。これにより30年で55万円だけ利益を得ました。

分配金無しの方は資産がどんどん増えるため、30年で143万円の利益が出せました。分配金有りの3倍近いです。
これも極端な例ですが、分配金が多すぎて資産を食いつぶし、資産がどんどん増えなくなることが分かったと思います。

ちなみに利益から出す分配金を普通分配金といい、資産を切り崩して出す分配金を特別分配金といいます。
普通分配金は税金20%がかけられるのに対し、特別分配金は利益で無いので税金はかかりません。
上記グラフは税抜前で計算していますのでご了承ください。

じゃあ、貰った分配金を再投資すれば良いのでしょ?

その通りですが、分配金には税金がかかることを忘れてはいけません。
分配金として利益を受け取ることで20%の税金がかかります。それを再投資するので元手は減ります。

分配金を全て再投資した時、資産増加の違い

上記グラフをご覧ください。
投資金額は100万円、30年5%の一定の利率で投資した時、利益分を分配金として受け取り再投資した場合と、分配金なしの場合の資産推移です。
30年後には資産が108万円の差があります。税金の20%が地味に効いていることが分かりますね。

よって、分配金を再投資しても、複利効果は少し減りますので同等にはなりません。

ファンドの運用が短期的な投資で非効率になる

さらに、分配金を出すためにファンドは短期的な利益を追い求める可能性があります。
分配金を出すためには現金化しないといけません。株を運用するファンドなら所有している株を一部売って現金化します。
もう少し株を保有していれば、大きな利益が得られそうと思っても、分配金を捻出するために現金化しなければいけません。

これがファンドにとってどれほどの痛手になるかは分かりませんが、ファンドとしては現金化を強要されない自由な投資が出来る方が利益が出しやすいのは自明でしょう。
分配金を出すために短期的利益を追い求め、ファンドの運用が非効率になる可能性が十分にあり、利益を減らす要因になりえます。

以上より、分配金を出すことで、「複利効果が減ってしまう」「投資資金が減って利益が出しにくくなる」「ファンドが非効率な運用になる」の3点が大きなデメリットになります。

毎月分配型ファンドとそうでないファンドのトータルリターンの違い

あまりにも理論の話ばかりなので、実際に毎月分配型と年1回しか分配しない投資信託のトータルリターンを比較してみました。
データの収集のしやすさからSBI証券のデータを引用しています。対象は国内株式の投資信託です。

年1回分配毎月分配型
トータルリターン3年最大34.74%18.58%
最小-11.13%-11.33%
平均7.56%-1.58%
ファンド数18329
SBI証券のHP(https://www.sbisec.co.jp/)よりデータを加工して作成(2018年6月17日)

上の表を見たら分かる通り、トータルリターンの最大値、最小値、平均の全てにおいて毎月分配型が負けています。
最大値・最小値・平均だけを見て良し悪しを判断するのは早計ですが、毎月分配型があまりいい結果を残せていないという事実に変わりはないでしょう。

そして、ファンドの数も少ないです。不人気なのかファンドが作りたがらないのかは分かりませんが、人気もなさそうです。
実際のデータを見ても毎月分配型は避けた方がよさそうですね。

分配金を出すことが絶対ダメという訳ではない

最後に断わっておくと、分配金が全く無い所がベストと言っている訳ではありません。
無理な分配金を出す所や分配金を出すことを特徴・強みとしている所がダメなだけです。

利益が出てくると資産が増えすぎて逆に思ったように運用が出来なくなれば、分配金として投資家に返すことはありです。
分配金を出すことで資産の調整や基準価額の調整が出来るので、必要な時に分配金を出すことは悪いことではありません。

投資信託の中には分配金を沢山出すことを売りにして投資家を集めているものもあります。
上記で述べてきた通り、無理に分配金を出すことは百害あって一利なしです。
利益が出れば上のように基準価額にきっちり反映されますので、分配金をもらう必要は全くありません。

毎月分配型は特に無理してお金を捻出している可能性があるので要注意です。
もし、本当に利益分を現金化したいのなら自分で換金すれば良いだけの話ですので、分配金は不要なのです。

まとめ

分配金が定期的にあるとお金が貰えるのでお得感がありますが、実は全く得をしておらずむしろ利益を出すチャンスを潰すことになりかねません。
分配金が多いところ、特に毎月分配型はよっぽど利益が出ていない限り避けた方が無難です。