簡単! ETFの選び方~たった3つのポイントと3つの確認事項~
この記事ではETFに興味があるが、どのように選んだらよいか分からないという方に簡単かつポイントを押さえたETF選び方を紹介します。
簡単ではありますが、小手先のテクニックは使わず、インデックスの選び方や指標の見方などを理解し、本質的で理論的に正しいETFの選び方となっている点が本記事の特徴です。
自分で選ぶのが面倒って方は、おすすめETFを紹介する記事を用意していますので、下記リンク先をご覧ください。
ただ、自分で納得して選択してもらうためにもこの記事を読んでから見て欲しいとは思います。
結論 ETFの選ぶ上での3つのポイント
上場投資信託と言われ、厳密には違いますが、投資信託を株のように売買できるものと考えて頂いて結構です。
詳細は投資信託との違いから見えてくるETFのメリットとデメリットで解説していますが、非上場の投資信託と比較して運用コスト(信託報酬)が安いことが大きなメリットです。
同じ運用をしてもらうなら少しでも運用コストが安い方がいいですよね。
そのため、近年人気が高まりつつある金融商品です。
ポイント① ベンチマークとなるインデックの選択
ポイント② 信託報酬が少ないものを選択
ポイント③ 出来高(売買代金)が少なくないか確認
ETFを選択する上でのポイントは上記3つです。
加えて、「基準価額の騰落率とベンチマークの乖離」「最低買付金額」「基準価額と取引価格の乖離」を確認しておくとさらに良いでしょう。
実際に選択するときのイメージを下記に示します。
株式投信情報サイト モーニングスター | ETF やETF銘柄リスト | 東証マネ部!のサイトにて、上図のようなリストが出てきます。
これらを利用するとETFの比較が容易になるので、活用しましょう。
以上が本記事の結論になります。以降ではこの結論に解説になります。
上の結論で「何故?」となった方は是非最後まで読んでください。
ポイント① ベンチマークとなるインデックの選択
ETFはあるインデックス(指標)をベンチマークにして、基準価額の騰落率がベンチマークと連動する運用が基本になります。
基準価額は総資産÷発行口数で表され、1口あたりの価値を表します。
この基準価額がベンチマークとするインデックス(日経平均株価やTOPIX等の指数)と連動するように運用されます。 下記図のように非上場の投資信託のインデックスファンドと同じと考えてください。
そのため、ベンチマークがETFの成果を決めるので重要になります。ただ、インデックスは無数にあり、全てを検討するのは難しいでしょう。
そこで、投資信託でよく使われているインデックスだけに絞って、特徴や違いを紹介します。そこから選んで頂ければ問題ないでしょう。
インデックスについてはインデックスファンドの選び方の所で紹介していますので、ご覧ください。
おすすめは上記記事にも書いてある通り、下記のインデックスです。
これらを選んでおけば間違いないでしょう。
- 国内株式 TOPIX
- 国内債券 NOMURA-BPI総合
- 外国株式 MSCI KOKUSAI Index
- 外国債券 FTSE 世界国債インデックス
最後に1つ注意点があります。インデックスが配当込みかどうかです。
日経平均株価やTOPIXは配当抜きの指数と分配金再投資無しの基準価額と連動されているものがほとんどです。
他は確認取れていませんので、ETFを比較するならベンチマークが込みかどうかは確認しましょう。
ポイント② 信託報酬が少ないものを選択
信託報酬とは運用管理費用とも言われ、保有している限り発生し続ける手数料です。
プロに資産運用を任せているので、当然費用がかかります。それが信託報酬です。
例えば年率0.3%のように、資産に対して利子のように差し引かれます。
年率ではありますが、日割り計算されて毎日反映されます。
ETFはもともと信託報酬が少ないですが、それでも手数料なので、なるべく少ないものが良いです。
ETFはベンチマークと連動するためベンチマークが同じであれば運用も同じであるので、信託報酬の分、成果・利益が減少します。
勿論、ベンチマークとの連動は信託報酬を差し引いた基準価額で行うため、完璧に連動していれば同じです。
ただ、インデックスの構成銘柄と同等の銘柄を構成にして運用が基本になる以上、コスト分のベンチマークとの乖離が生じるリスクが伴います。
よって、信託報酬がベンチマークとの連動の乖離につながり、最終的には我々の利益に影響が出ます。
実際、信託報酬と投資成績の関係がどうなっているか見てみましょう。
上のグラフはTOPIX連動のETF6銘柄の信託報酬と騰落率の相関図です。
騰落率は基準価額の変化率のようなもので、株価と同じように増えた分利益(リターン)になります。
信託報酬と騰落率が負の相関にあることが分かります。言い換えれば信託報酬が安いと騰落率が高い関係にあります。
日経平均株価でも同様に見てみましょう。
上のグラフは日経平均株価連動のETF8銘柄の信託報酬と騰落率の相関図です。
TOPIXと同様に信託報酬と騰落率が負の相関があり、信託報酬が安いと騰落率が高い関係にあります。
よって、信託報酬が安いものを選べばリターンの高いものを選ぶことになります。ただ、誤解しないでほしいのはリターンの高いものを選びたいのではありません。
運用コストが安く、ベンチマークから乖離しにくいものを選ぶためってことを忘れないで下さい。
以上より、信託報酬は少しでも少ないものを選びましょう。
実は…分配金利回りは見なくてよい
ある程度知識のある方なら、分配金利回りは見ないのかと考えると思います。
結論を言えば分配金利回りは見なくてよいです。分配金利回りが運用成績とは関係が無いからです。
分配金は総資産から捻出されますので、運用の成績が良かったから配られるというものではありません。
分配金が多いということは単に総資産を減らして、基準価額を下げているだけに過ぎません。
ただ、ETFは法令で配当や利息で得た利益から手数料等を引いた分を分配するよう規定されています。
それもあってか、総資産から出ている認識が薄く、分配金の利回りを重視する傾向があるのかもしれません。ちなみに非上場投資信託ならそういう規定はありません。
よって、分配金は総資産の一部でしかないので、成績や利益は分配金を含めた総資産や基準価額を見るのが正しいです。
実際、運用会社も分配金を再投資した基準価額とベンチマークの連動を目指しています。目論見書にもそのように書いてあるものが多いです。
さらに、分配金利回りと基準価額騰落率3年の相関を調べました。
上のグラフはTOPIX連動のETF6銘柄の分配金利回りと騰落率の相関図です。
ブラックロックは分配金利回りが低いにも関わらず、騰落率は高いですね。
分配金利回りが高い≠成績(騰落率)が良いであることが示されています。
念のため日経平均株価でも見てみましょう。
上のグラフは日経平均株価連動のETF6銘柄の分配金利回りと騰落率の相関図です。
これはまだ分配金利回りが高い=騰落率も高いものが多いですが、ブラックロックはその傾向から外れているようです。
分配金利回りはランキング形式で見れるところが多いので、分かりやすい指標なのですが、本当に成績を見るなら騰落率です。
そして、騰落率は信託報酬とある程度相関があるのは既出の通りで、信託報酬で判定するのが良いでしょう。
ポイント③ 出来高(売買代金)が少なくないか確認
最後に出来高を確認しましょう。出来高とは取引された株数のことです。
取引された金額に換算したものを売買代金と言います。
ETFは株と同じ仕組みで、買いたい人は売りたい人からETFを買う必要があります。
トレードですね。そのため、人気をがあれば、買いたい人>売りたい人になり、ETFの値段が上がります。
このトレードがあまりに少なかったらどうでしょう。
買いたいときに買えないですし、売りたいときに売れません。
これが非上場投資信託にはない特徴です。非上場投資信託はいくらでも買えますし、いくらでも売れます。
よって、取引された株数=出来高がある程度あるものを選びましょう。
これといった基準は無いですが、1回あたりの売買が500口なら最低でもその10倍の5000口の平均出来高が欲しいと個人的には思います。
自分の購入する口数と出来高を比較して良し悪しを判断してください。
また、出来高に付随して、総資産も確認しておきましょう。一般的に100億円以上のものが良しとされています。
出来高が低くなければ、純資産もそれなりにあるとは思いますが、念のため確認しましょう。
因みに資金が少ないと下記のデメリットがあるのでご注意ください。
- 資金不足で様々なところへの分散投資出来なかったり、思い通りの投資ができない
- 一部の人のETF売買に対して資産や運用に悪影響を受ける
出来たら確認してほしい3項目
ここからはETFを買う前に少し見てほしい確認項目を3つ紹介します。
確認しなくて恐らく問題ないので、面倒だと思う方は飛ばしてください。
確認①基準価額の騰落率とベンチマークの乖離
ETFはベンチマークと基準価額を連動した運用をします。
ETFでは基準価額とベンチマークとの乖離が小さいものが良いとされるので、この乖離を確認することが非常に重要です。
ベンチマークと基準価額の乖離は、各ETFの月間レポート等を確認すると分かります。
乖離を確認することは重要なのですが、ETFは元々乖離が少ないので問題になることは少ないでしょう。
また、同じインデックスをベンチマークとするETFを比較して、騰落率や乖離率を確認すると面白いです。
ただし、ETFは騰落率やリターンの高さで評価するのは間違いです。あくまで、乖離していないかの目つきで確認しましょう。
補足ですが、騰落率を見るのは楽天証券がおすすめです。長期期間でも見れるのは、楽天証券ぐらいでした。
確認②最低買付金額のチェック
ETFは非上場の投資信託のような金額指定での購入は出来ません。
購入単価が設定されており、安ければ1000円程度から。高ければ10万円程度のものもあります。
初めて投資をする方はいきなり高額投資は気が引けるかもしれません。
そういった方は、最低買付金額を見ておきましょう。
ただ、これは買いやすいかどうかの話なので、ETF自体の評価にはなりません。
選定の基準にはなるべく使わないようにしましょう。
また、ETFは株と同じように購入時には証券会社に手数料を払う必要があります。
下記はSBI証券会社のETF購入手数料一覧です。
1注文の約定代金 | 手数料 |
---|---|
5万円まで | 50円 |
10万円まで | 90円 |
20万円まで | 105円 |
50万円まで | 250円 |
50万円まで | 429円 |
100万円まで | 487円 |
150万円まで | 582円 |
3000万円まで | 921円 |
3000万円超 | 973円 |
SBI証券のETF購入手数料(税抜)(https://www.sbisec.co.jp/)(2018年8月5日) |
上記の表から分かる通り、一回当たりの購入額が大きいほど手数料の割合は小さくなります。
1回で最低10万円ぐらいの投資が望ましく、どのみちある程度まとまった単位での投資になると思います。
よって、どうしても少額でETFを買いたい方は最低買付金額をチェックし、それ以外の方は買う前に確認程度で良いでしょう。
確認③基準価額と取引価格の乖離
上記の基準価額とベンチマークの乖離以外にも取引価格との乖離も確認する必要があります。
ETFの実際の購入価格は非上場投資信託のように基準価額によって決まるのではなく、市場の需要と供給の関係で決まります。
基準価額は1日1回、取引所が閉まった後に計算されます。一方需要と供給で決まる取引価格は取引所が開いている間絶えず変化します。
そのため、上図のように基準価額と取引価格の変動するタイミングが違うため、必ず基準価額と取引価格の乖離が生じます。
基本的には大きさ乖離は生じないのですが、出来高が少なかったり異常な人気・不人気によって生じる可能性があります。
そういったタイミングで買わないためにも乖離が小さいかを確認しておきましょう。
補足ですが、ETFの乖離率は基準価額とベンチマークの乖離と基準価額と市場価格の乖離があり、乖離率で検索してヒットするのは後者のことが多いです。
気をつけてください
まとめ
ポイント① ベンチマークとなるインデックの選択
ポイント② 信託報酬が少ないものを選択
ポイント③ 出来高(売買代金)が少なくないか確認
確認① 基準価額の騰落率とベンチマークの乖離
確認② 最低買付金額
確認③ 基準価額と取引価格の乖離
これらをすれば、適切にETFを選べることでしょう。特に重要なのは信託報酬です。リターン(成績)と相関があります。
最後に、買うときには取引価格と基準価額の乖離を確認しましょう。乖離が大きいと市場が何らかの理由で荒れている可能性があるので、買わない方が無難です。
この方法で実際に選んでみたのが下記記事になりますので、併せてご覧ください。