日本人には不向き 外国債券をおすすめしない理由

公開日 2017年12月17日
更新日 2019年6月29日
不況のイメージ

この記事では外国債券が投資をおすすめしない理由について説明します。
実際私も外国債券には投資していません。

投資信託をカテゴリー分けすると、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券になります。
それぞれに分散投資をして、様々な不況において値下がりするリスクをカバーしあうことが一般的に良いと考えられています。

しかし、検証してみると外国債券だけはそのリスク低減にあまり役に立っていないように見えてきました。
実際、私も外国債券の投資信託を保有していましたが、何かと値下がりをして、あまり良い結果が出せていません。

よって、外国債券がリスク低減 (リスクヘッジ)する効果が期待できないという考えに至った理由をご紹介します。

検証方法

まず検証にあたり、日本国内で生活していることを前提としてください。
言い換えると日本円で生活するため、ドルやユーロなどを最終的には円にすることになります。

この前提を基に、不況のパターンを考え、その時の値下がりリスクを見ていきます。
不況の状況パターン簡単に考えると、全世界が不況、日本だけ不況、日本以外が不況、全世界好況の4つに分けられますので、4パターン検証します。

投資対象は国内株式、国内債券、外国株式、外国債券(投資信託ベース)の4つのカテゴリーになります。
この4つのカテゴリーの一般的なリスクとリターン関係は下記表の通りです。

各カテゴリーのリスクとリターン

実際の投資信託のデータや株価指数、為替データを使って説明します。
それでは4つのパターンを見ていきましょう。

全世界的な不況

まずは全世界的な不況を想定します。
最近ではリーマンショックがこれに値しますので、リーマンショックを見ていきましょう。

リーマンショック時の基準価額

上のグラフは各カテゴリーのインデックスファンドの基準価額推移を表しています。
不況時、株式は外国、国内に限らず軒並み下がります。不況とは経済活動が活発でないことなので、お金企業が利益を出しにくく、株の価値も下がるのは当たり前でしょう。

社債や国債等の債券への投資は国や企業にお金を貸している行為であり、元本保証され、利子でリターンを得るので、経済不況には影響されにくいです。
その分リターンも少ないのですが、不況が来ても、国内債券は基準価額が維持もしくは株から退避用として需要が高まり、微増も期待できます。

しかし、下落幅は小さいですが外国債券は国内株式や外国株式と同じように下落しています。
これは、リーマンショック時は円高となり、円換算した時に価値が下がっているためと考えられます。
ちょっと、外国債券の投資信託の基準価額推移と為替を見てみましょう。

外国債券と為替

本当は外国債券の指標(インデックス)で見る方が客観的ではあるのですが、有名な指標である「シティ世界国債インデックス」のデータが見当たらないので、インデックスの投資信託の基準価額で代用します。

2009年にリーマンショックが起きました。その影響で為替は円高ドル安に動き、110円→90円を下回るぐらいまで下がっています。
外国債券も為替と連動して価額がガクッと落ちていることが見て取れます。

円の辛いところで、何か良からぬことがあると円高になります。
これは、日本国が、そして円が安定しているため、不況時には安定した通貨に変える動きが強くなるからです。

全世界不況時の投信価格変化

まとめると、上の図のように全世界不況では株式全般下がり、債券は維持もしくは微増になりますが、円高を考慮すると、外国債券も下がります。
つまり、リスクヘッジ出来たのは国内債券のみです。

日本だけ不況

次に日本だけ不況になった場合を想定します。
バブル崩壊が日本だけ不況に当てはまるので、バブル崩壊を例に見ていきます。

バブル崩壊時の基準価額

上のグラフは「日経平均株価」と日本を除く先進国株式の指数である「MSCI KOKUSAI Index」のチャートを表しています。
本当は先ほどと同様に全カテゴリーの投資信託を並べたかったのですが、古いデータが無かったので断念しました。

国内株式が当然のことながら下がっており、外国株式はほとんど影響が無く順当に上がっていることが分かります。
先ほどの投資信託とは違い、為替の影響を考慮出来ていないので、為替の変化も見る必要があります。

日本が不況の場合、円の価値が下がり円安になる可能性があります。
そのため、為替の影響で外国株式と債券がさらに上がっていることも考えられます。バブル期の日経平均株価と為替を見てみましょう。

バブル期の日経平均株価と為替

上のグラフはバブル期の日経平均株価と為替のチャートになります。
ご存知かもしれませんが、1985年のプラザ合意から急激な円高になります。それを起点にして日経平均株価も急上昇しました。

しかし、それも限界が来て1990年頃から急激に株価が降下しました。
これがバブル崩壊です。株価はピークの60%まで落ちています。

面白いのは為替。日本の景気は悪いのに円安になっていません。むしろ円高に傾いているでしょう。
理由は分かりませんが、日本だけでなく相手の景気も悪かったり、バブル崩壊により株価が割安になって外国人による日本株式購入が進んだり、色々考えられます。

日本の景気が悪い=円安になるとも限らないということで、単純に景気不景気では語れない難しさがあります。
少なくとも、バブル崩壊の時は円安は起きなかったことになり、外国株式や外国債券も為替の影響は小さかったことになります。

日本のみ不況時の投信価格変化

よって、まとめると日本だけ不況の時は国内株式だけが下がり、国内債券は維持、外国株式と外国債券は増加になります。
為替によっては多少の増減はあるかもしれません。

海外不況で国内が景気良い

海外不況で国内が景気良い場合の例が浮かびません。
基本的に日本は輸入輸出に依存し世界と共にあるので、海外が不況なのに日本だけ景気が良いというパターンは少ないです。

現にリーマンショックはアメリカで起きたことですが、アメリカの市場は大きいため、全世界に広がり日本も完全に巻き込まれています。
よって、実例はありませんが、想定だけしてみましょう。

全世界不況時の投信価格変化

外国が不況であるため外国株式は下がります。
債券は基本下がらないのですが、既に記述の通り不況=円高になるため、日本円にすると外国債券も大きなダメージを受けます。

国内債券は横ばいですが、国内株式は良くなるの普通です。
しかし、先程も書いた通り、このままでは終わりません。

海外不況による円高によって、輸出時の値段が高騰して輸出しにくくなります。
そして、海外は不況ならそもそも商品が売れにくくなり、輸出品も売れにくくなります。

日本の内需だけでは到底利益が出せません。
よって、輸出で利益を出している製造業の企業は、株価が下がってしまいます。

日本が好調でも、海外が不況になれば、いずれ日本の企業にもダメージを受けることになります。
結局、国内株式も下がり、一番最初の全世界不況パターンに陥る可能性が高いです。

全世界景気が良い場合

最後は全世界景気が良い場合もありますが、これは説明不要でしょう。
景気が良ければ債券よりも株式です。逆に債券は人気が無くなり、投資信託の場合は基準価額が下がる可能性もあります。

全ての状況をまとめてみると

パターン国内株式国内債券外国株式外国債券
全世界不況 ↓↓↓↓
日本だけ不況 ↓↓↑↑↑?
日本以外不況 ↓↓↓↓
全世界好況 ↑↑↑↑

上記のように表にしてまとめると、外国債券に投資してもリスク軽減にはあまり役に立っていないことが分かると思います。
結局、不況時の円高になってしまう日本固有の性質が効いて、外国債券も外国株式と同じような値動きをしてしまうことが要因です。

よって、リスク分散として外国債券に投資する意味はあまり無いと言えます。
これが私が外国債券に投資をしない理由です。

また、「超簡単 お金の運用術 山崎 元」には、日本で生活する我々にとって、為替のリスクは大きく「為替リスクは、外国債券よりも外国株式に割り当てる方が得」と書かれています。
やはり為替のリスクを考えると外国債券より外国株式がおすすめになるようです。

余談になりますが、このように自分でリスクを想定し、こうなったら何が下がって、何が上がるのかをシミュレーションすることが大切です。
こうやって、リスクヘッジすることを学び、リスクを上手に捉えることこそが、このサイトのテーマである、賢いお金の使い方に繋がります。

それでも外国債券も運用したい

ここまで書いておいてですが、どうしても外国債券を買いたいなら買ってもいいと思います。
国内株式、国内債券、外国株式、外国債券全てに投資しないと気がすまない人もいると思います。

4つの商品の価額推移

国内外の株式と債券のインデックスファンドを並べました。
余り古いデータはありませんが、外国債券はかなり順調に価額が伸びていることが確認できます。

逆に国内債券は安定こそしていますが、全然増えていませんよね。定期預金よりすこし良い程度のレベルでしょう。
安定しているので安心して大きな資金を投資出来るメリットはあります。

このように、外国債券が絶対ダメという訳ではありません。向き不向きもありますので、少額でも買ってみるのが良いかもしれません。

後は国内債券にも言えることですが、外国債券の投資信託の場合、手数料(信託報酬)が少し高いです。
外国株式の投資信託と比較して0.05%ほどですが、気にかけておきましょう。

おすすめの投資信託を紹介している記事がありますので、ご参考ください。

まとめ

外国債券への投資は、円換算すると日本、世界の不況のリスク軽減にはあまり繋がらず、分散投資による恩恵は少ないでしょう。
しかし、絶対買ってはいけない訳ではありませんので、興味のある方は、為替のリスクに十分注意をして購入していただければ良いと思います。
ちなみに私は外国債券には投資せず、海外への投資は外国株式1本です。
下記リンク先に私の投資方法を説明していますので、参考にしてください。

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